朝日が眩しい。光り輝く
バラード入江Burrard Inletからは、今日も水上飛行機が次々と飛び立っていく。朝刊
THE GLOBE AND MAILには、笑顔で子供に手を差し出す兵士の写真が大きく出ている。記事を読んでみると、「カナダ兵6人死亡、アフガンミッションによる死者は合計66人に」、写真はその兵士の生前の物だった。イラク戦争には不参加のカナダであるが、アフガニスタンにはNATO軍の一員として派兵をしている。平和そうに見えるが、この国も戦争中なのだ。
ブレンズコーヒーBLENZ COFFEEで朝食。このバンクーバー生まれのコーヒーチェーンは、日本にも進出していて、話の種に“本家”に来てみたわけだが、コーヒーはともかく、ラップされてレンジでチンするマフィンやラップサンドはあまり褒められた物ではない。ちょっと味気ない朝食となった。ホテルに戻りチェックアウト。審判のような笛を吹き、タクシーを仕切っている格好いいポーターに見送られ、バンクーバーの街を後にする。
12時、空港に到着。きっかり2時間前には
ウィニペグWinnipeg(YWG)行きの便にチェックイン完了、と思ったら出発予定時刻が1時間繰り下げられている。3時間も暇が出来た。“おい森”
ja.wikipediaで水まきをしながらまったりと過ごす。今年は……周囲の人に言わせると毎年……辺境地に行くのでかなり余裕を持った日程になっていて、今日明日は移動だけで終わってしまう。そんな時の暇つぶし用に持ってきた
ニンテンドーDSだが、旅行中は目覚まし時計の代わりとして重宝する。アラームをセットすると、現在時刻設定時刻の他に、起床までの時間がカウントダウンで表示されるのがミソで、直感的でわかりやすい。
昼飯は空港内のレストランで、フィッシュ・アンド・チップスとクラムチャウダー。付け合わせのコールスローサラダが美味い。午後3時過ぎ、ほぼ定刻にゲートを離れる。ウィニペグまでは約3時間、最初はロッキー山脈越えで氷河をいただく美しい山々が見えていたが、だんだんと雲に覆われてしまう。相変わらず貧弱なビデオシステムでは、フィギアスケートをテーマにしたお馬鹿な映画
Blades of Glory……暴力事件で男子シングルス競技から永久追放された2人の仇敵が、男同士でペアを組み世界一を目指す……をやっていて、これが意外と面白く大笑いして見てしまった。
ウィニペグ時間(中央標準時、バンクーバーより2時間進んでいる)午後8時ちょっと前、無事到着。タクシーでホテルを目指す。車窓から見るウィニペグの町は、幹線道路から直角に伸びる道の両側に地平線まで一軒家が並んでいるなんだか異様な雰囲気。丘とか、高層建築物とか、求心力となる物が何もない。こんな所で育つと心象風景という物はどうなるのだろうか。
ダウンタウンが近づいてくるとそれなりに高いビルが見受けられるようになる。古い議事堂(
マニトバ州議事堂Legislative Building)が、この町にもそれなりの歴史があることを主張している。8時半、今日の宿
フォート・ギャリーHotel Fort Garryに到着。1911年に鉄道会社によって作られた老舗ホテルで、“シャトー様式
Chateau style”の重厚な作り。かつてはここが町の中心だったのかもしれないが、現在のダウンタウンからは少し離れているようで、822号室の窓からは、緑の少ない殺風景な風景が広がる。
晩飯を探して、ホテルの周囲を散歩。レストランチェーンの
KEGTHE KEG STEAKHOUSE & BARがあったが……ステーキっていう気分でも……イマイチ。周囲1ブロックをまわって、結局ガソリンスタンドで水を購入しただけでホテルに戻る。晩飯は毎年持ってくる
株式会社サタケの非常食で済ませることにした。サタケは、お湯を用意するだけでピラフやドライカレーが作れる“アルファ米”の老舗で、レストランでガッツリ食べるほどお腹は空いていないが、なにか少し食べておきたいときに重宝する。
なんだか殺伐とした街であったが、ホテルの方は申し分ない。コーヒー、紅茶は24時間いつでもいれたてを届けてくれる。昨日までのウェスティン・ベイショアにも勝るとも劣らないベッド……マットの厚さ、40センチ、あ、ちょっと負けた……で快適な眠りへ。さあ明日はいよいよ極北の町だ。