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2009hawaii 06/22
 夜中から断続的に降る雨が朝になっても続いている。週末の観光客が居なくなったホテル・ホノカア・クラブHotel Honoka`a Clubは閑散としていて、食堂も静か。でも女将さんは元気、「日本に帰るの?これからワイピオ?」楽しそうに話しかけてくる。自分達の町を映画にし、そしてわざわざ訪れてくれる日本人が居ることが、本当に嬉しいようだ。でも逆に言えば、このホスピタリティがあってこその『ホノカアボーイ』誕生だと思う。簡素だけど、とても居心地の良いホテルでした。

 女将さんに見送られ、ワイピオWaipi`oへ向けて出発。天気が悪いので“なんだかなあ”な気分だが、ツアーを予約してあるのでとりあえず行くしかない。ホノカアHonoka`aからワイピオへは車で10分程度の距離。途中の WOH Ranch がツアーの集合場所だ。ワイピオで実施されている各種アトラクションの殆どはここが拠点となっていて、広い駐車場……空き地……がある。5〜6台停まっているが、既にツアーに出たのか人は居ない。そして大きなログハウスと工事現場の仮設トイレ(なんでログハウスを建てる時にトイレを作らないんだ?)。ログハウスには、いかついカウボーイ……ハワイ風に言えば“パニオロ”……が居て「その辺で適当に待ってな。そのうち迎えが来るからよ」って感じでそっけない対応。

 予定の時刻を少し過ぎて、バンに乗ったおじいちゃんが登場。免責事項みたいな書類にサインして出発、ワイピオを目指す。展望台(Waipio Valley Lookout)を過ぎ、「4WD以外進入禁止」の道へ。ギアをローに入れ、谷底まで1.5キロ、ケーブルカー並みの急勾配を下っていく。何カ所かのポイントを除けばすれ違うことも出来ない崖っぷちの道を、エンジンを唸らせながら走る。後はおじいちゃんの体力と腕次第。安全が担保されたジェットコースターとは違うスリルがある。しかし慣れたもので、「あそこに見えるのがほにゃららで……」と余裕の観光ガイド。流石です。

 無事に谷底に到着、緑の谷底だ。上の方は霧に包まれ、谷の奥には天から降り注ぐような滝が見える。カメハメハの時代には1万人が暮らしていたそうだが、今は静かな里山の風情。車はと言えば、ボディーを木の枝に擦りながら狭い道を進み、少し開けた一角で停まった。囲いがあり、中に馬が居る。気がつけば、かなり年季の入った馬車らしき物もある。そっか、これに乗るのか。さて、ワイピオ・バレー・ワゴン・ツアーズWaipi`o Valley Wagon Toursの始まりです。……と思ったらなかなか始まらず、おじいちゃんは準備に忙しい……って事は御者もこの人なのね。一頭の馬が近づいて来る。こいつは囲いに入って無いけど、いいのか?と思ったら「そいつは野性の馬だよ」と言う事らしい。

 準備が整い「さあ乗ってくれ」。貸し切り状態なので好きな席に……って時は普通一番前に座る。詰めれば10数人程度は座れそうだが、定員の前に最大積載量に引っ掛かるかも知れない。予約する時に体重を聞かれるので正直に申告しましょう。でないとお馬さんが大変です。

 2頭の馬に引かれ、ソロリソロリと出発。轍の深いぬかるんだ道はなんだか辛そう。そして乗っている方も物凄い振動。一応屋根が付いているのだが、耐震実験の家みたいにぐらぐらと揺れている。馬車がこんなに乗り心地悪いとは考えてなかった。「パパイヤだ、パンの木だ、タロ芋だ、……あれは昔ホテルだった建物だ」。特別な歴史建造物や史跡があるわけでもないので淡々と進む。時々車に道を譲り、物珍しそうに写真を撮られたりする。

 途中、小川に差し掛かった所で馬の足が停まった。水って結構平気なのかと思っていたが、そうでもないのか?「いい子だ、さあ行け!!」とけしかけるがなかなか踏み出さない。ムチの音で威嚇すると、やっと進み始める。馬も大変だが乗っている方も大変。アップダウンに水しぶきが加わりジェットコースター気分。

 天候が心配だったが時々明るさを取り戻す……晴れとまでは行かないが……まずまずな感じ。何の植物なのかよくわからないが、紅葉のような木々が斜面を被う。タロイモ畑が田園のように美しい。電気を引いてリゾートホテルを建てれば間違いなくはやりそうだが、それをしない(出来ない?)ところがワイピオの価値である事は間違いない。

 なんとか激揺れの馬車が壊れる事もなく出発地に戻りツアー終了。1時間半のツアーだが、馬車に乗っている時間は30分程度。滝壺とか海岸の辺りとか、行ってみたい所は色々あったがまあ仕方ない。本当にワイピオを堪能しようと思ったら一日かけてトレッキングをするしかないだろう。

 車に乗り換え帰宅の途につく。今度は恐怖の登りです。ローギアでエンジンを唸らせ一気に駆け上がる。オートマチックだからなんとかなるけど、マニュアルだったら絶対無理です。一度停まると、坂道発進できません(少なくとも私には……)。ワイピオを堪能するには物足りないツアーだが、行き帰りの“アトラクション”と合わせてまあ満足出来る内容でした。

 WOH Ranch に戻り「お馬さんによろしくね」とチップを渡し、おじいちゃんとお別れ。いい感じにお腹も空いて、お昼ご飯の時間です。ホノカアに戻りシンプリー・ナチュラルSimply Naturalへ。ポップな色遣いの小さな店で、『ホノカアボーイ』(原作)にも登場する有名店。サンドイッチを中心とした手軽な店なので、日本人向きかも。「『ホノカアボーイ』、見たあ?」ここでも日本人は大歓迎、ウエイトレス(オーナーのお母さんの様です)さんが満面の笑顔で迎えてくれる。オープンフェイスなベジサンド……具がたっぷりのピザトースト風……と、ターキーサンドイッチを注文。

 ここの売りは、名前のとおり、シンプルでナチュラル。たいていの野菜やハーブはオーナーが自分で栽培しているらしい。肉や卵も“オーガニック”に育てられた物を使用している。“違いのわかる男”ではないのでオーガニックだからどうだと言うのはわかりませんが、確かに美味いです。彩り豊かな新鮮野菜を補給できます。さらに食後にはヒロ・ホームメイド・アイスクリームが有ります。ホノカアNo.1 おしゃれレストランに認定しましょう。

 さて、いよいよホノカアとお別れ。別にホノカアに6連泊しても良かったのだけど、ホテル・ホノカア・クラブが失敗だった時の保険……映画のパンフレットとか読むとけっこうぼろぼろなイメージだったので(失礼)……の意味と、後半は島の南を観光する予定なので拠点を移す事にしたのだ。

 ヒロに向かってひたすら南下、ヒロを過ぎても更に南下。ボルケーノに向かう道を東に逸れるとパホアPahoaという町に行き着く。目指す宿はこの近くだ。宿と言っても、実はゲストハウス、個人宅の一室を間借りする感じで、ネット検索をしている時にたまたま見つけた いるかおさん のお宅(日本人です)。見ず知らずの人を家に泊めるのってどうなのよ?怖くないのか?ひょっとして日本人相手の新手の詐欺?って感じで色々妄想が広がる中、問い合わせたら丁寧な返答をいただき、更に(頼んでもいないのに)詳しい現地情報まで教えてもらってなんだか断り辛いなあ……まあいっか、って感じで決めてしまった。

 事前に頂いた案内図を頼りに町から少し離れた住宅地(別荘地?)に向かう。看板も何も出ていないがそれらしい家に到着。直ぐにご主人(アメリカ人です)と元気なお子ちゃま(ハーフです)がお出迎え。興味深々な少年は、少し話しをすると早速パパに報告「この人、日本語しゃべれるんだって」……いや正確には日本語しかしゃべれないんですけど……。

 すっかり子分にされて遊びに付き合いながらお茶を頂く。パパはなんだか教育者の様な感じの人で、英語が全くダメな妻に対し「せっかくだから英語を使いなさい」と会話を促す。妻が保育士だった事を知ると、「うちの子は日本人の子と比べてどうか」と気にされいるご様子。いや全く問題ありませんし、自分は人見知りな子だったのでこの子の快活ぶりには驚くばかりです。

 いるかおさんが帰宅。さすがゲストハウスを開こうなんて考える人だけあって、活発で気さくな感じ。一通り説明を受けるが、ゲスト専用のバスルームも有るし、食事が無い以外はB&Bと変わりません。

 荷物をほどき、夕食&買い出しに出掛ける。買い出しと言ってもビールが欲しいだけなんですが、はい。あ、それと出がけに“親分”がヨーグルトを買ってこいと言ってたので忘れずに買わないと。パホアの町にある大きなスーパー、マラマ・マーケットMĀLAMA Marketはさすがアメリカンな品揃え。妻はエコバッグを見つけご満悦。

 夕食は、いるかおさん推奨の中からメキシコ料理の店へ。パホアの町のメインストリートは少し怪しげな感じで結構賑わっている。その中でも一際目立つ緑の建物が、ルクインズ・メキシカン・レストランLuquin's Mexican Restaurantだ。タコスやブリトーはわかるけど、エンチラーダって、何だあ?。付け合わせにRice & Beans(米と豆)って書いてあるのでまあなんとかなるでしょう、じゃあそれ。

 バーコーナーからは賑やかな声が聞こえる。車でなければビールが欲しいところ。エンチラーダは、ビーフストロガノフの様な具材(チキンや豆腐バージョンも有るみたい)をトルティーヤで包みオーブンで焼いた料理。もはやアメリカの国民食とも言えるメキシコ料理、うまいです。お腹いっぱいです。食べ過ぎです。

 夜、ゲストハウスを取り囲む森からは、美しい鳥の声(……だと思っていたら(泣)……種明かしは後日)がうるさいくらいに響き渡る。ビールを飲み、気持良く就寝。


06/22 end


Photo
日産ムラーノpuffin 日産ムラーノ
今回の旅の相棒です。
タロイモ畑puffin タロイモ畑
紅葉?の様に見えるのは何の木?
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