荷造りを済ませ、少し早めにお願いしておいた朝食をいただく。ご主人が100年前の通販カタログを見せてくれた。アンティークな品々を見るのはおもしろいが、100年前にすでに通信販売があった事が驚きだった。
楽しい語らいの時間も過ぎ去り、迎えのタクシーがやってくる。また来ることがあれば、絶対にこの宿を選ぼう。
ハリファックスHalifaxに戻り、最果ての地、ニューファンドランドNew Foundlandのセント・ジョーンズSt.John'sへ向かう小型のジェット機に乗り換える。
セント・ジョーンズは北米大陸の東の端。冬には流氷が押し寄せる。昔NHKで「ザ・商社」というドラマがあり、その舞台となった場所として強く印象に残っていた。
約1時間半後、着陸態勢となった。が、着陸復航を繰り返すばかりでなかなか降りない。眼下はかなり厚い雲。三度目の着陸復航の後、これまでとは大きく進路を変え水平飛行に移った。そして機長のアナウンス。さっぱりわからないが、引き返すのか、違う飛行場に向かうらしい。
何処かに着陸した。小さなターミナルビルの丸い屋根にディア・レイクDeer Lakeの文字。地図で確認すると、ここはニューファンドランド島の北の端のようだ。小一時間機内で待たされたが動きがない。プリンスエドワード島で買ったポテトチップスを食べながら待つ。もうお昼だ。
やっと機外への外出許可が出た。暇なので売店に立ち寄る。大量のパフィンpuffinグッズ発見、ゲットだぜ。
飛行機会社のカウンターで、売店で使えるチケットを貰う。クラブハウスサンドを注文。スープだけ先にもらい席につく。しかしまずい。例えようもなくまずい。
サンドイッチが出来る前に飛行機が離陸することになってしまった。あきらめて機内に戻る。ほかの乗客を見ると紙皿にサンドイッチを山のように乗せて帰ってきた。テイクアウトありだったのね。少し悔しい。
夕方5時くらいになりやっとセント・ジョーンズに着陸した。急いでレンタカーを借り、ウイットレス湾Witless Bay Ecological Reserveに向けいざ出発。
うたた寝する妻を横目に バル湾Bay Bullsにある船会社、Mullowney's Pfuuins & Whalesを目指す。何とか最終便の出発5分前に着いた。結局一時間遅れで出航するとの事なので近くの土産物屋に入る。またまたパフィングッズを大量にゲット。
7時を回り、船が帰ってきた。全長約15メートル程のボートに20人近い客が乗っている。おばさんが近寄ってきて「グレート!!、エキサイティング!!」と連発して去っていった。期待が高まる。
僕らのほかにもう一組家族連れを乗せて出発。舵を握るのはバージンVirginグループのリチャード・ブランソン会長によく似たひげ面の男。観光案内のマイクを握るのはおそらくその娘さん。時々説明に詰まりバージン会長が助け船を出す。
湾を出るとそこは大西洋の荒波。座席に置いていたカメラのレンズが転がってしまった。ショック。皆静かにクジラが現れるのを待つ。
「いた!!」と思う間もなく背中を少し見せただけで沈んでいく。大ジャンプとまではいかなくても、しっぽで海面を叩きながら沈んでいく様くらいは見たい。が、バージン会長の呼び声もむなしく鯨は何度か背中を見せただけだった。
向きを変え、いよいよパフィンの住むウィットレス湾生態保護区に向かう。太陽はすでに姿を隠し、薄暗くなりかけている。
断崖絶壁の無人島(環境保護のため上陸禁止)に近づくに連れ、周りを飛翔するパフィンの姿が増えてきた。セント・キルダ島St.Kildaで見たあのお茶目な姿がよみがえる。島に近づくと崖一面パフィンだらけ。バージン会長もサービスたっぷりでぎりぎりまで近づいてくれる。夢中でシャッターを切りまくった。
すっかり日も沈み、港に戻る。海上から見る町の灯が美しい。デッキにいると風が冷たく、膝掛けを借りて妻と肩を寄せ合い座る。
すっかり暗くなった深夜の道路をホテル目指して走る。セント・ジョーンズの町中をぐるぐる回りやっとの事で到着。部屋の窓からは港が見える。街灯に照らされた町並みも美しい。ルームサービスを食べて眠りについた。明日は朝が早い。
07/28 end
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