朝からあいにくの雨。8時に朝食。絞りたてのオレンジジュース、ブルーベリーたっぷりのフルーツ盛り合わせに始まる優雅な食事。昨年のスコットランド旅行では、毎朝シリアルで閉口したがこれには満足。
ケベック州から来たという若いカップルと一緒のテーブルになった。「英語はあまりしゃべれない」と伝えると「うちらも普段はフランス語で、英語は part time だ」と言っていた。
食後はいよいよドライブに出発。目的地はノースケープNorth Cape、島の北の端。PE島のほとんどは平坦な地形、起伏があっても丘程度なので主要道路の殆どは直線の道が続く。おかげで運転自体は快適だったが雨はますます強くなっていく。海と空の切れ目が見えない、色の無い、どんよりとした景色が続くばかり。
やっと風力発電の風車が見えてきた。雨に濡れた赤土で泥だらけの駐車場に車を止める。借りたときは真っ白だった車も、赤茶色に変わっている。
海岸沿いには観光用の馬車が停まっているが、この天気ではさすがに利用者はいない。海に溶け込んだ赤土で波の色が茶色に変わり、佇む馬の姿が一編の油絵のようだ。
それにしても寒い。寒風が吹きすさぶ。灯台まで行こうと思ったが「寒いの嫌い、暑いの嫌い、歩くの嫌い」な妻が駄々をこねて嫌がるので断念、とりあえず土産物屋に入る。客はまばら。
土産物屋の二階のレストランで食事をする。なにを注文しても「 Oh! Grate!! 」と反応するウェイトレスに名物のオイスターとシーフードクレープを注文。やはり付け合わせに米が付いてくる。生オイスターは少し小振りながら美味、クレープは味付けが甘く少し閉口。
午後には少し小降りになり、薄日も射すようになる。グリーンゲーブルスGreen Gablesに向けて、来た道をひたすら引き返す。
グリーンゲーブルスのあるキャベンディッシュCavendishに近づくにつれ、派手な看板の土産物店が増えてくる。自分たちの街を美しくすることに奔走していたアンが見たら嘆くことだろう。
「Where are you from?(何処から来ましたか?)」
「From Japanese.(日本人からです)」
と、妻は受付の女性と楽しそう話をしている。グリーンゲーブルスは小説のイメージそのままに復元されたアンが暮らした家を中心に、恋人たちの小道、お化けの小道へと続く森を含む公園となっている。早速建物に入ってみる。「ここがキッチンだあ、マシュウの部屋だあ」と感嘆する妻。実話ではないのであくまでもイメージによる世界であるが、それはそれ、カナダ人の暮らしぶりが感じられておもしろかった。
07/26 end
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