今日はパフィンツアーに参加。6時半の集合に合わせ、6時には朝食。フレンチトースト。なかなかの美味で、妻の機嫌も良くなる。
6時半きっかりに波止場に到着。まだ人影はまばら。1人の爺さんが近づいてくる。船長のバーナ・ノートンのようだ。聞くところによると90近い年齢であるが、かくしゃくとして、元気そのものだ。15名ほどが、手続きの済んだ者からボートに乗り込み、7時過ぎに出発した。
外洋に出ると風が冷たい。シャツを何枚か重ね着していたが、耐えられそうもないので奥の手、ゴアテックスの合羽を着る。
遠くに海鳥が集まる小さな岩礁が見えた。速度を落としながら近づくので「何事?」と思ってよく見ろと、岩礁のように見えたのはクジラの死体だった。浮いている部分から推測すると、全長10メートル以上はありそうだ。白いお腹を半分見せて、横たわるような形で潮に流されている。先ほどまで快活にしゃべっていた他の客も、この時ばかりは皆静かにその姿を見つめていた。
2時間が過ぎ、やっと遠くに灯台が見えてきた。マチャイスアイランドに到着。数人ずつ、小さなボートに乗り換えて上陸する。灯台の施設があるところまでは、上からは親鳥の攻撃、下は生まれたばかりの雛鳥に注意しながら歩くことになる。いったん広場に集まり自然保護のための注意事項の説明を一通り受けた後、5人程度のグループになり観察小屋にはいる。
観察小屋は、1畳ほどの広さで、四方に開閉できる小窓が付いていて、人間はそこから外の様子をうかがうことになる。いよいよパフィンの観察開始。
小窓を開けると目の前1メートルの所にちょこんと座っている。どちらを向いてもパフィンだらけ、望遠レンズで覗くと画面一杯に愛嬌のある姿が映る。小屋の中の誰よりもたくさんのフィルムを使い、写真を撮りまくった。が、あまりにも当たり前に居るのでそのうち写真を撮る手も休み休みになり、ただ肉眼で眺めている時間が長くなった。心安らぐ一時。
どれだけ時間がたっただろうか、遠くで人の声がするので灯台の方の窓を開けてみると別なグループが上陸していた。どうやら交代の時間らしい。新しいグループに小屋を明け渡し、灯台に戻る。
すぐに出発かと思ったが、ヘリコプター待ちとなる。観察中に轟音を響かせてヘリコプターが1機飛んで来た。この時ばかりは鳥たちが騒ぎまくりひと騒動だった。ヘリコプターには、カナダ国旗が描かれている。この島は、カナダとアメリカで領有権を争っていて、とりあえずのところ、カナダで管理しているそうだ。ヘリコプターは来たときと同じく小さな島に騒ぎを巻き起こし去っていった。
船に戻り、後はまっすぐジョンズポートへと戻る。今回は船酔いもなく、我慢できる程度の寒さで、何よりもたっぷりとパフィンを見ることができ快適なな船旅だった。
港に戻ると、既に昼を過ぎている。おきまりのパフィングッズを買い込んだ後は、お目当てのロブスターを食べに行く。土産物屋のおばちゃんに紹介してもらったのは、トールバーニーズという、地元民御用達のような小さな店。子供が珍しそうにこちらを見ている。見つめ返してもはにかむでもなく、ただじっとこちらを見ている。
巨大ロブスターがやってきた。食べ方はカナダのプリンス・エドワード島でマスターしているので手慣れたもの。まずは、はさみをひねり取る。大きくて身離れも良いのではさみの形そのままに身が取れる。一口食べると、伊勢エビにも引けを取らないほどの美味。臭みも全くない。頭をちぎるとカニ味噌(海老味噌?ロブスター味噌?)もたっぷり。たちまち満腹となってしまった。
ちなみにロブスターは「時価」だったが、会計をしてみてびっくり、たったの15ドル。今回の旅で一番満足のいく食事だった。
車に戻り、あとはひたすらバンガーの街を目指す。このあたりの海岸線は、国立公園に指定されているほどの美しさで是非立ち寄りたいところであるが、潮臭い体とロブスター臭い手を早くなんとかしたいので断念。
2時間ほどでバンガーBangor空港に到着。ホテルは空港直結のシェラトンFOUR POINTS BANGOR AIRPORT。チェックインを済ませ、レンタカーを返却するとこの旅も一段落を迎えた感じがした。夕飯にルームサービスの焦げて真っ黒なハンバーガーを食べて早々に眠りについた。
08/02 end
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