2003年4月10日
さて、今日明日は、自由行動。レンタカーを借りてくる。急げば2時間程度で一周できる小さな島だが、それぞれの観光名所が離れている上にバスの便は少ないのでレンタカーが便利だ。1000ccクラスであれば、24時間借りても6000円だ。
まずは白谷雲水峡と並んでどうしても行きたかった屋久杉ランドに向かう。なんだか陳腐な名前だが、屋久杉の森を巡るハイキングコースだ。謎の名前のパン屋、「凡我塔ひらみ屋」でお昼ご飯用に牛乳や菓子パンを買い、安房方面に向かう。
屋久杉ランドは、島の南東、宮之浦から1時間程度、白谷の標高が800メートル前後なのに対し、こちらは1,000メートル以上の所に位置する。また、白谷と同じく世界遺産指定地域に入らない、正式には自然休養林と呼ばれる一帯だ。
入り口でなんとか協力金を払い、森に分け入る。すぐに屋久杉の巨木に囲まれる。白谷が照葉樹林帯から屋久杉林に移り変わる境に位置し木の種類が豊富なのに対し、こちらはほとんどが屋久杉の森だ。静かに巨木がたたずんでいる。立派な吊り橋が架けられ、屋根のある休憩所もありよく整備されていが、木の根っこが張り出していたり、滑りやすい所もあるのでそれなりの靴を用意する方が望ましい。
しかし白谷と比べ通る人はまばらで静か。森林浴気分でのんびり歩く。小原さんが居てくだされば怒濤の解説があるのだろうけど、二人だけだと本当に静かだ。
1時間ほど歩いたところで、お昼ご飯。沢のそばのベンチに座る。せせらぎの音を聞き、屋久杉の空気に触れながら食べる事が出来る、最高の環境だ。白谷雲水峡での昼飯は、人の通過も多く・・・特にカメラを持った若者が・・・、正直言って落ち着いて食べられる雰囲気ではなかったが、ここは本当に静かで落ち着いている。見応えのある杉の巨木もたくさんあり、じゅうぶんに楽しめると思うが、もったいないなあ・・・。
食事を除いて2時間ほど歩き、駐車場に戻る。林道をさらに山に入ると、車で観光できる中では最大の屋久杉、紀元杉が見られるというので行ってみることにした。猿の姿を時々眺めながら、だんだんと尾根に近づいていく。と、唐突に紀元杉の看板が現れた。林道の端に車を停め、木の階段を下りる。うぅーーーん、確かにこれはすごい。樹齢3000年(推定)、周囲13メートル。20種類を越える着生植物を従え、一つの小宇宙を形成しているようだ。発芽し、成長し、種を残し、やがて枯れていく。我が家のベランダでも繰り返される自然の摂理が、ここでは数千年を単位として繰り返していく。屋久島の時の流れに、しばし、思いをはせてみた。
次は林道を延々と戻り、大川の滝(おおこのたき)を目指す。大川の滝は、島の南西、西部林道の南の端にある。屋久島は狭い土地に高い山、多い雨と、滝が出来る要素がそろっていて、島内各地に有名な滝がある。昨日までの林間学校気分から、今日は完全に一般観光客だな。
で、大川の滝、到着。滝自体はぼちぼちだが・・・一応、日本の滝100選に入るらしい・・・青緑色に輝く滝壺が美しい。腹這いになって流れに手を突っ込んだりして、しばし、水遊び。滝の水で沸かしたコーヒーを売りつける人が居るというので楽しみにしていたが、季節はずれのせいか、居なかった。
帰り道、屋久島フルーツガーデンに寄り道。フルーツ村や、フルーツパークなど、日本中にある観光施設を想像して行ったら、なんと「まんてん」でゴルゴ松本が経営していた怪しいトロピカル村そのままの風情だ。掘っ建て小屋のような建物におばさんが二人、店番をしている。駐車場に座っていた怪しいおじさんがやってきて「それじゃあご案内します」。
「はいこれがパパイアの木です。バナナです。ドラゴンフルーツです・・・」と、広い園内を息つく間もなく歩き続ける。季節外れで実がなっている物は少ないが、熱帯のフルーツで素人が思いつく物はまず間違いなくここにある。話を聞いていると、この人が一人で始めて、一人でここまで大きくしたようだ。
小屋に戻り、フルーツとジャムの試食。屋久島名物、タンカンのジャムもある。ちょっと小腹がすいていたところなので、美味しくいただいた。
宿に戻り、今日も三岳を一杯。決まった料理の他に「これ、自宅で作ってきたんですけど、よろしかったらどうぞ」と女将さん手作りの品が追加される。長期滞在の特権か、気に入られたのか、暇なのか、ここ数日他の客にはないサービスをしてもらっている。なんだか気分がいいなあ。
お風呂で長期滞在しているお兄さんと一緒になる。もう3ヶ月、屋久島にいるそうだ。はじめは観光できて、仕事を見つけて、今はまた無職でぶらぶらとしている。なにが彼をそうさせているのだろうか。
夜中に目が覚める。隣の部屋からテレビの音といびきが聞こえてくる。おおかた酔っぱらってそのまま寝込んだのだろう。いびきは仕方がないが、テレビは消せよ。よっぽど怒鳴り込もうと思ったが、我慢して寝た。
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